小倉昌男の経営学

「経営学」を読みました。

小倉昌男 経営学

小倉昌男 経営学

とても有名な本なんですね。
ヤマト運輸の元社長小倉氏の本です。
99年の著作ですが、初めて読みます。
内容としては題名の通り経営に関すること。
中身も具体的で充実しています。
たぶん会社を経営している人が読むと、もっとぐっと
くるものがあるのではないかと思います。
私は今雇われの身なので、そうか、そんなもんか。。
みたいな感じなってしまって、ちょっと残念。

私が中学生の時、社会の先生がヤマト運輸でアルバイトを
していた時があったそうで、(本書にも記載がありますが)当時は
大変過酷な労働条件だったそうです。
運送3日目にようやく家に帰れる、その繰り返し。
時には4日目にならないと家に帰れないときもあったとか。
先生曰く、当時は「ヤマト残酷物語」と言われていたそうです。
それなりに稼ぎはよかったそうですが。バイトだったと思います。

話を本の内容に戻しまして、本書でへえ、と思ったのが、
第3次産業(サービス)というには第2次産業(メーカー)と比べて、
商品をその日に売らなければ、賞味期限が切れてしまう、
チケットの予約が切れてしまう、など、売上を上げねばならない
期限がとても短い。したがって、メーカーは週休2日制なんかで
のんびり物を作っていてもいいが、サービス業はそんなこと
いってられないので、週休2日なんかより超過労働になっても
当然である、という内容の部分。

小倉氏が言い出したのではなく、そのような内容の講演を小倉氏が
聞いて目からうろこが落ちたという感じで記載されています。

私もなるほどなと思いました。
メーカーに勤める人間ののんびり感が、何とも自分に合わないなあと
思ったのは、この辺りが起因しているのかもしれません。

経営のまっとうなあり方が書いてあると思います。

話それますが、いつも思うのですけど、いわゆる「成功した人」というのは
なぜ、最初にさんざん過酷な労働を自分(従業員にも・けが、病気になる人続出
)がしておいて、
成功したらなんだか啓蒙的になってくるんでしょうか。
ちょっと批判めいていてあれなんですけど。。

特にそういった感想を持ったのが、かの有名な東レ研究所社長の
佐々木常夫氏の新聞の記事を読んでからです。
↓※参考※記事の内容と無関係

働く君に贈る25の言葉

働く君に贈る25の言葉

お子様がダウン症で、奥様が自殺未遂を図り、、という
大変な家庭環境の中でも、同期一番出世をし、東レ研究所の
社長にまで上りつめたという成功物語なんですが。。

私は、立派なのって、別にこの方が特別なんじゃないと思うのです。
記事の取り上げ方では、こんな家庭環境の中で
生み出した仕事術とか管理術の説得力や素晴らしさなんですが、
そこをもてはやすのは何だか違うんじゃないかなと。

氏は奥様が自殺未遂を図っても、もちろんすぐに帰宅し
対応されていますが、その後も変わらず働き続けています。
多くの人はそのあたりで、もしくはもっと前の段階で
時間的余裕のある仕事に転職する、出世をあきらめるなど
すると思うのです。
そして家族との時間をもっと大切にするのではないでしょうか。
過去その選択をしていった名もなき人達が数えきれないくらい
いると思うのです。
そういった名もなき普通の人達の方が本当はとても立派な
人達なんじゃないかと思います。

氏が大変な困難を乗り越えられたことは彼の選択した人生なので
特にどうということはありませんが、(他に選択肢があったと
思うので)
乗り越えた現在、家族のことで相談に来る社員に対して、
家族のために仕事を抑えてもいいんじゃないか、みたいな
アドバイスをしているのも読むと、なんだかなあ、
あなたがそれを言うのか、、みたいに思ってしまうんですよね。


ただ、そういった風に考えさせてくれた、という意味で
自分の働く価値観も深まったので、とても意義のある記事(本)でありました。