京大医学部の4割が受けるパンキョー

「武器としての決断思考」を読みました。

武器としての決断思考 (星海社新書)

武器としての決断思考 (星海社新書)

学生の間では、一般教養の授業をパンキョーと言います。
関西だけですか・・?

マッキンゼーで勤めた著者が、大学の教壇に立って、
社会人としての武器となる知恵を学生に教えているらしいです。

内容は論理的思考をディベートの考え方を使って習得していく
というものです。
論理的に考えるための基本が学べます。
読んでいてなるほど、大学の授業って感じがしました。

一番思ったのは、この本で与えられる武器だけでは
社会に立ち向かうことはできないかなあ、ということです。
もちろん本書の知識を持っていることは人生で起こる
様々な問題を考える上で有効だと思います。

ただ、ご存じの通り、社会は、論理で動いているものではないですので・・
いやもう信じられないくらい感情で動いていることが多いと
思いますよ。

以前ハーバードビジネスレビューで読んだのですが、
大学のMBA取得コースの学生がその後就職してどの程度
役職まで就いたのかを調査したそうです。
すると、意外にも、ある一定の役職までで伸び悩んでしまうそうです。
なぜならば、MBAで学んだ高度な考え方で考え、発言したとしても
周囲の人間(上司など)はその考え方を持っていないので、軋轢が生じ、
上手くことを運べない、結果として、出世できないのだそうです。

みなMBA取得者のような、優秀な方ばかりの会社に就職すれば
上記のような問題にあたらないかもしれません。
取引先はどうかわかりませんが・・。

社会に出ての一番の武器はバランス感覚なのではないでしょうか。
上手く仕事を運ぶためには、上司や部下と信頼関係を築き、
仕事をもらい、仕事を任せ、相手の様子を見て状況を
判断し、自分の出方も判断し、時には反対を押し切って
大きい決断もする。
たくさん恥ずかしい思いをし、悔しい思いをし、我慢をする。
目上の人の感情に配慮する力は重要になってくると思います。

備え持った光る人間性がある人は強いですね。
品性があるといいますか・・

ただ、本書の論理的思考をこれからの若い方たちがみな
揃い持って成長するならば、これからの世界を作る人達なので
それが主流になり、非論理的に動いている年寄り達は
淘汰されていく・・という状況になっても、それもまた
時代の流れで面白いかもしれません。

本書にもありますが、最終的な回答は論理的思考で導き
させることではありません。
最後には、自分が何を一番大事な価値観とするかで
判断せざるを得ません。

結局は自分の主観で判断します。
会社でもそうです。判断するのは私ではありません。
「私」という人間が提供したものに対して、上司や
お客様や周囲の人がそれぞれの主観で判断します。

安いだけではモノは売れません。
機能的なだけでも売れません。
論理的なだけでは上手くやっていけないのです。

第一は、人として魅力があること。
前提条件としてそんな風に思いました。

もちろん私も、もっともっとそれを求めていきます。