twitterの未来

ブックファースト銀座店「総合」1位だった佐藤尚之
「明日のコミュニケーション 「関与する生活者」に愛される方法」を
読んでみました。
ロングセラー『明日の広告』の待望の続編なそうな。

ソーシャルネットワークの先駆者である著者が、twitterを中心とした
上記ネットワークの今後の可能性について書いています。
twitterを存分に活用している著者だからこそ、多くの
フォロワーを持つからこそ、書ける説得力がある内容に
なっています。
広告業界の方なのでそういった視点で書かれている部分は多いです。

震災時や民主党台頭時、twitterがいかに活用されたか、
そこに、普段ROMっていて行動を起こすにいたらない人々がいかに
動員され、発言し、(自ら参加を表明して)巻きこまれていったかが
例を示してわかりやすく説明されています。
そしてその渦中にいた当事者達が感じたとてつもない感情のうねり。
一種の集団帰属意識のようなものが生まれてたのではないかと思います。
twitterを始めソーシャルネットワークが今の20代〜30代の若者に
どれほど影響を持つかがわかります。

そして、twitter間では、フォローするにあたってその人間性が厳しく問われるが、
その人が誤りを犯しても、そこで誠実に対応をすることで逆に評価が上がる、という姿が見られるようです。
また、何かに対して誰かが批判しても、そこに擁護してくれる人が現れるという、
ネットは「怖い」だけではない、人間的な活動もあります。
それは、2ちゃんねるの掲示板などと違い、ソーシャルネットワーク間では匿名性が薄く、
比較的リアルな人との付き合いがWEB上でも続いているところに要因があるようです。

著者も書いていますが、facebooktwitter上でビジネスを行うのであれば、
実社会(語弊がありますね、すみません。WEB外の社会というような意味)と同じように実名を表明して行うものでなければ、
利用している効果は薄いと思います。
twitter上で活躍している人の多くが上記に関しては指摘していますね。
これからはWEBが匿名の世界ではなく、どんどん実名の世界になっていきます。
実名になることで、相手に対する批判のような意見は影をひそめていくでしょう。
もちろん、全くなくなることはありません。それは実社会でもなくならないのと同じです。

twitter上で、震災を契機に、たくさんの人が「他の人の役に立ちたい」と声をあげたという点。
これは以前書いた「ボランタリー経済」の表れであると思いました。
「ありがとう」という貨幣を貯めていく、これがWEB上の「いいね!」ボタンに当たるのですね。
http://d.hatena.ne.jp/opensesami/20111021/p1
前回書いた内容で言うと、「いいね!」を貯めた人が精神的に豊かな人、となりますが
これは残念ながらイコールにはならないように思います。
なぜなら、「いいね!」ワンクリックと実社会の「ありがとう」のお礼を言う行動の重さの違いからです。
違いはありますが、貨幣経済ではなく、ボランタリー経済という新しい経済の形が
出来ているのは確かだと思います。
これが今後どのように動いていくのか見ていきたいと思います。


本書は、現代の若者像をひも解くのに大いにヒントになる一冊であると思います。
誰を対象にビジネスをしていくのか、それによってもこのソーシャルネットワーク
利用する、しないは変わってきますが・・。
このソーシャルネットワークの動きは決して一過性の流行では終わらず、
今後主流になっていくのは確実です。

新しいボランタリー経済に生きる若者がなぜ就職となると大企業を目指すのか、
個人的に興味があるテーマです。
今後書ければと思います。