台湾 女性総統の誕生①
台湾に女性総統が誕生しました。
気になったトピックなので情報整理してみます。
1月16日に台湾の総統選が投開票され、
民進党の蔡英文(さいえいぶん)氏が
大差をつけて国民党の朱立倫氏に圧勝し、
初の女性総統となりました。
まず、台湾の選挙制度を確認しておきましょう。
台湾の議会、立法院は一院制で、
議員にあたる立法委員の任期は4年です。
日本は二院制で、衆議院が6年、参議院が4年ですね。
(実質は衆議院は解散があるので任期は2年半、
参議院は3年ごと半数ずつ選びなおします)
台湾では、1996年に直接選挙が導入されて以降、
総統選挙で政権交代があっても、
立法院は一貫して国民党が主導権を握ってきました。
2000年から8年間続いた民進党の陳水扁政権のときも民進党は少数与党で、不安定な政権運営を強いられました。
ところが今回は、総統選挙とともに、立法院選挙でも民進党の優勢が伝えられ、
大きく議席を増やして初めて単独過半数を獲得するという見方も出ています。
仮に民進党が総統選挙で勝利するとともに、
立法院でも過半数を占めれば、立法院長のポストを獲得するなど
安定政権につながることも予想されます。
蔡英文氏は59歳。台北出身で、イギリスやアメリカへの留学経験がある国際派です。
法律が専門の学者でもあり、李登輝元総統のブレーンとして、
中国と台湾は「特殊な国と国との関係」とする、いわゆる「二国論」の起草にも関わりました。
→ここで二国論とは?
確認しておきましょう。
http://note.masm.jp/%C6%F3%B9%F1%CF%C0/
~中国と台湾を「国と国との対等な関係」と定義する考え方で
台湾の李登輝が 1999 年に明らかにしたもの。
大陸の中華人民共和国と台湾の中華民国は従来、一方と外交関係を結ぶと他方とは断交しなければならないことを原則としてきた。それはお互いに「一つの中国」の原則のもと、どちらが正統な「中国」であるかを長年争ってきたからであった。ところが李登輝総統は1999年7月ドイツの公共放送のインタビューに答えて、両者の関係を「特殊な国と国の関係」と表現した。大陸の中華人民共和国はこれを「二国論」とよび、実質は独立論だとして強く非難した。~
大陸の中華人民共和国としては、台湾も中国の一つであると
しますが、それを民進党が否と表明したもの指して二国論というのですね。
今回当選して総統の蔡氏がこの草案に深く携わったとのことですので
二国論の立場であることがわかります。
引き続き蔡氏の経歴です。
2008年まで8年間続いた民進党政権では、対中国政策を担当する閣僚や
副首相にあたる行政院の副院長などを歴任しました。
民進党で初めての女性党首として臨んだ前回、2012年の総統選挙では、
国民党の馬英九氏に80万近い票差で敗れています。
蔡氏は、対中国政策を巡っては、独立志向が強い従来の民進党のイメージを抑える一方で、
→「独立志向が強い従来の民進党」とは?
先ほどの二国論に上がったような、台湾は大陸中国とは違うと明確に
打ち出す立場ですね。
中国側が主張する「一つの中国」の考え方は台湾の主体性と民主主義を損なうと
批判して中台関係の「現状維持」を訴えています。
→「一つの中国」とは?
二国論とは反対の台湾と大陸中国は同じ国であるという考えです。
蔡氏はあくまでも大陸中国と一定の距離感を保ちたいと考える立場なのですね。
また、去年10月には日本を訪問して、
日本の政界とのパイプづくりを進めるとともに、
経済分野を中心に日本との関係強化を目指す考えを示しています。
→日本の政界とのパイプ作りとは具体的には?
どのような方と会っているのでしょうか。以下のような情報が見られます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%94%A1%E8%8B%B1%E6%96%87
2015年10月に再度訪日し、日本政府高官などと非公式に会談を行ったほか、
与党・自民党の細田博之幹事長代行とも会談。
また、野党・民主党の枝野幸男幹事長や日華議員懇談会メンバーらとも階段。
この訪日の際、安倍晋三首相とも非公式に会談を行ったとみられているが、
菅義偉官房長官は否定しており、蔡自身も、台湾との窓口に当たる
交流協会の大橋光夫会長に会っていたとしている。
秋には総統選勝利、与党の兆候が見えていての訪日だったかと
予想されますね。
次に、前総統であった国民党の馬英九氏の歴を見てみたいと思います。